数寄屋橋で

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その店の名前は覚えていません。素透しガラス張りの洒落たカフェテリア。そんな感じです。僕は、2階の窓際から何時間も外の交差点を見ていました。雨が降っていました。街灯が点されて、僕は、店内を見回し、ウェイターがこちらを睨んでいるような気がして、何だか愛想笑いをしてしまいました。そしてコーヒーをもう一杯注文しました。
いつも雨
有楽町は、いつも雨。あなたと会うと、きまって雨。あなたは晴れ男だと云うけど、どうしてなのかしら?一度、晴れ渡った数寄屋橋を、一緒に腕を組んで、歩きたかったわ。


初めての出会い、再会、別れの一シーンをチョット留めておきたいのです。

数寄屋橋には、いつも雨が降っていた。 そう思うのは、たぶん記憶の中の数寄屋橋が、いつも雨の日だからだ。 初めて彼女に会ったのも、雨だった。 傘を持たずに立っていた僕に、彼女は少しだけ傘を傾けてくれた。 「駅までですけど、一緒に行きます?」 銀座の灯りが濡れた舗道に滲んでいた。 僕は名前を聞き、彼女は笑った。 それだけだった。 けれど、その日から数寄屋橋は、僕にとって特別な場所になった。
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