懐かしく嬉しい

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あまり定かではないけれど、となりのカヨちゃんと、ままごとで遊んだ記憶が・・。砂場に山を作って、汽車を通していたら、カヨちゃんがやってきて、シャベルがお茶碗に、砂がご飯に変わったのです。彼女は結構いじめっこで、僕はいつも箒で叩かれ、泣かされていたような気がするんだけど、離れるのが嫌だった。
後ろの席で
同窓会の帰り、私はひとりで古い校舎の前に立っていた。
門は新しくなっていたけれど、校庭の隅にある大きな銀杏の木だけは、昔のままだった。
「懐かしいな」
思わず声が出た。
すると、遠い記憶の中から、教室のざわめきが聞こえてきた。
窓から差し込む午後の光。
黒板に残ったチョークの文字。
机の上に置かれた、飲みかけの牛乳。
そして――後ろの席。
いつもそこに、彼女がいた。
授業中、先生に見つからないように小さな紙を回してきた。
『大人になったら、何になりたい?』
私は少し考えて、
『遠くの街へ行って、知らない人と話してみたい』
と書いた。
彼女は笑って、
『私は、いつまでも夢を見ていたい』
と返してきた。
あれは幼き日の夢。
そんなもの、とうに忘れてしまったと思っていた。
けれど、今になって思う。
私はあの頃に書いた夢の続きを、ずっと歩いてきたのではないだろうか。
知らない街へ行き、知らない人と出会い、いくつもの人生の話を聞いてきた。
振り返れば、人生というものは不思議なものだ。
叶わなかった夢もあれば、思いがけず叶っていた夢もある。
そして、後ろの席にいた彼女が書いた言葉も、なぜか忘れられない。
校舎を出ようとしたとき、風が吹いた。
銀杏の葉が一枚、足元に落ちた。
拾い上げると、裏側に小さな文字が見えた。
――夢は、忘れた頃に迎えに来る。
誰が書いたのかは、わからない。
私は笑った。
懐かしくて、嬉しかった。
そしてもう一度、遠い昔の教室を思い出した。
後ろの席から届いた、小さな紙切れ。
あの日の夢は、
まだ私の中で眠っていた。

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